伊勢神宮の中心をなすのが内宮(皇大神宮)です。
ご祭神は天照大御神、日本神話における太陽神であり、皇室の祖神として古くから厚い信仰を集めてきました。
宇治橋を渡り、清らかな五十鈴川で身を清めてから正宮へと向かう参道は、荘厳で神聖な雰囲気に満ちています。
古来より「一生に一度はお伊勢参り」と呼ばれ、多くの人々を惹きつけてきた内宮。
伊勢を訪れるなら欠かすことのできない存在です。
この記事では、内宮の歴史と背景、見どころ、参拝時間、アクセスや駐車場情報を分かりやすくご紹介します。
歴史と背景

伊勢神宮・内宮(皇大神宮)は、天照大御神をお祀りする、神宮の中心にあたるお宮です。
日本神話に登場する太陽神であり、皇室の祖神として、古代から国家の安泰と人々の暮らしを見守ってきました。
その起源は約2000年前、第11代垂仁天皇の御代にまでさかのぼると伝えられます。
以来、内宮は国の精神文化を象徴する聖地として厚く信仰され、江戸時代には「一生に一度はお伊勢参り」と呼ばれる大流行を生み出しました。
また、内宮では20年に一度、社殿を建て替える式年遷宮が執り行われます。
社殿・神宝・御装束を新調することで、神様の若々しい力を保ち続けるとともに、日本の伝統的な木造建築や祭祀の技術を現代へと継承しています。
このように、内宮は日本の信仰と文化を支え続ける特別な存在であり、外宮とともに伊勢参拝の中心として親しまれています。
見どころと観光時間目安(所要目安:90〜120分)

- 全体をじっくり巡ると90〜120分程度が目安です。
- 宇治橋から正宮に至る参道に多くの見どころが点在。
- 外宮と合わせれば、半日以上は必要になります。
宇治橋

内宮の玄関口にあたる宇治橋は、俗界と神域を分ける象徴的な存在です。全長は約100メートル、檜造りの美しい木橋で、両端には高さ8メートルを超える大鳥居がそびえ立ちます。ここを渡ることは、日常から神聖な世界へ一歩を踏み入れることを意味します。
朝日の時間帯には、鳥居越しに昇る光景が広がり、日の出スポットとしても人気。四季や時間帯によって異なる表情を見せる宇治橋は、参拝のはじまりを告げる荘厳な門として、多くの人に感動を与えています。
五十鈴川御手洗場

宇治橋を渡った先に広がる清流が、五十鈴川御手洗場(いすずがわみたらし)です。古来より参拝者が身を清めてきた場所で、川面に手を浸し、心静かに整えてから正宮へ向かうのが習わしとされています。
川辺は木立に囲まれ、光と水が織りなす情景はまさに神域そのもの。水面に映る緑や紅葉は美しく、四季折々の風景を楽しめます。静かなせせらぎの音に耳を傾ければ、参拝前の心を落ち着けることができるでしょう。
写真映えスポットとしても人気ですが、本来は心身を清めるための聖なる場所であることを意識し、静かに佇むのがおすすめです。
正宮 皇大神宮

内宮の中心であり、天照大御神をお祀りするのが正宮(しょうぐう)です。参道を進むにつれて深まる森の静けさと、玉砂利を踏みしめる音が、参拝者を厳かな気持ちへと導きます。
社殿は唯一神明造と呼ばれる、素木の檜を用いた簡素で清浄な建築様式。玉垣内は撮影禁止であり、御垣の外から静かに頭を下げることが参拝の基本です。
正宮では個人的な願いごとを祈るのではなく、国民すべての安寧と五穀豊穣を祈る場とされています。そのため、訪れる際は「感謝を伝える気持ち」で手を合わせるのが望ましいとされています。
朝の柔らかな光や夕方の静かな佇まいの中で参拝すると、特に深い感動を得られるでしょう。
別宮 荒祭宮(あらまつりのみや)

正宮のすぐ南に鎮座するのが、別宮 荒祭宮です。ここでは天照大御神の荒御魂(あらみたま)をお祀りしています。荒御魂とは神の持つ勇ましく力強い側面で、困難を打ち払い、新しい道を切り開く力を象徴すると言われています。
小高い石段を登った先に社殿があり、周囲は木々に包まれ、静けさの中に凛とした空気が漂います。正宮に次ぐ格式を誇る別宮であり、内宮参拝では欠かせない場所とされています。
参拝者の多くは、正宮で感謝を伝えたあとに荒祭宮を訪れ、個人的な願いや祈りを込めることが多いとされます。力強い気配に包まれたこの社で手を合わせれば、背中を押してもらえるような感覚を覚えるでしょう。
別宮 風日祈宮(かざひのみのみや)

宇治橋の下流にかかる風日祈宮橋を渡った先に鎮座するのが、別宮 風日祈宮です。ここでは、級長津彦命(しなつひこのみこと)・級長戸辺命(しなとべのみこと)の二柱をお祀りしています。
風や雨を司る神様で、古来より農作物を育て、暮らしを支える大切な存在として信仰されてきました。台風や暴風雨から人々を守る「風雨鎮護の神」として、現在でも多くの参拝者が祈りを捧げています。
境内は森に囲まれ、内宮中心部の賑わいとは対照的に、静かで落ち着いた雰囲気が広がります。宇治橋や五十鈴川を望むことができる場所でもあり、参拝の合間に心を静めるのにふさわしい社です。
神楽殿
正宮の近くに建つ神楽殿(かぐらでん)は、参拝者が特別な祈りを奉げる場として重要な役割を担っています。ここでは御神楽(おかぐら)奉納や、御札・御守の授与が行われ、参拝者が直接神恩感謝を形にできる場所です。
御神楽は、笛や太鼓に合わせて神職や舞姫が舞を奉げる儀式で、個人の願いから会社・団体の祈願まで幅広く受け付けています。事前に申し込みをすれば、特別参拝として厳かな神事を体験できる貴重な機会となります。
また、神楽殿は御朱印授与所としても知られ、多くの参拝者が立ち寄る場所です。厳かな雰囲気に包まれながら、神宮ならではの御朱印をいただけば、参拝の証として旅の記憶に残るでしょう。
神苑
宮の境内に広がる神苑(しんえん)は、参拝の合間に心を落ち着けることができる憩いの場です。広々とした庭園には四季折々の草花が植えられ、春は桜、夏は新緑、秋は紅葉、冬は椿や松と、自然の移ろいを感じられます。
神苑は、神域の荘厳さとは少し趣が異なり、参拝者が静かに休憩できる空間として親しまれています。玉砂利の参道を歩いて疲れた足を休めたり、木陰で川風を感じたりと、神宮ならではの自然美を身近に楽しめるのが魅力です。
また、神苑では時折特別な展示や文化行事が行われることもあり、伊勢の歴史や文化に触れる機会にもなります。参拝の合間に立ち寄れば、心と体を整え、次の参拝へ向かう力を与えてくれるでしょう。
参拝時間(開門時間)
内宮の参拝時間は、季節によって異なります。早朝の澄んだ空気の中で参拝するのもおすすめです。
| 期間 | 参拝時間 |
|---|---|
| 1月〜4月・9月 | 5:00〜18:00 |
| 5月〜8月 | 5:00〜19:00 |
| 10月〜12月 | 5:00〜17:00 |
閉門時間は月ごとに異なるため、夕方の参拝を計画する際は要注意です。なお、神嘗祭や正月期間など、特別な日には参拝時間が延長される場合もあります。
アクセス、駐車場・駐車料金
アクセス
- 所在地
三重県伊勢市宇治館町1 - 電車でのアクセス
近鉄「五十鈴川駅」から徒歩約30分、または三重交通バスで「内宮前」下車(約6分)。
JR・近鉄「伊勢市駅」や「宇治山田駅」からもバスで約15分。 - バスでのアクセス
三重交通バス「内宮前」停留所下車すぐ。外宮と内宮を結ぶ路線もあり、参拝の移動に便利です。 - 車でのアクセス
伊勢自動車道「伊勢西IC」から約5分。内宮周辺は観光客で混雑しやすいため、休日は早めの到着がおすすめです。
駐車場・駐車料金
内宮には専用駐車場がなく、周辺に整備された市営駐車場を利用します。
宇治橋近くやおはらい町寄りに複数あり、観光や参拝に便利です。
- 内宮B駐車場
宇治橋近く、約300台収容。内宮参拝の際に最も便利。 - 内宮A駐車場
おはらい町やおかげ横丁寄り、約250台収容。参拝後の散策に便利。 - その他周辺駐車場
混雑時には臨時駐車場や市営駐車場が開放される場合あり。
料金体系(市営共通)
- 最初の1時間無料
- 1〜2時間:500円
- 以降30分ごとに100円加算
- 夜間入庫(17:00〜翌7:00)は400円引(普通車のみ)
混雑期は駐車場の空きがすぐになくなる場合があります。
「らくらく伊勢もうで」公式サイトで駐車場のリアルタイム空き情報を確認できます。
観光のポイント・注意点
参拝マナー
・正宮内は撮影禁止。
・参道の中央は神様の道。端を歩く。
・二拝二拍手一拝を守る。
混雑対策
・午前10〜14時が最混雑。
・朝5〜8時の早朝参拝がおすすめ。
・土日祝は公共交通利用が安心。
装備・服装
・玉砂利の参道 → 歩きやすい靴必須。
・夏は暑さ対策、冬は防寒必須。
・雨天時はレインコートが便利。
よくある質問(FAQ)
Q1. 内宮の参拝時間は?
A. 季節によって異なり、5:00開門で閉門は17:00〜19:00です。1月〜4月・9月は18:00まで、5月〜8月は19:00まで、10月〜12月は17:00まで参拝可能です。
Q2. 所要時間はどのくらい?
A. 正宮や荒祭宮を中心に参拝する場合は90〜120分程度が目安です。外宮とあわせると半日以上必要になります。
Q3. 外宮と内宮、参拝の順序は?
A. 古来より「外宮から内宮へ」が正式とされ、今でもこの順序で参拝するのが一般的です。
Q4. 内宮へのアクセス方法は?
A. 車では伊勢自動車道「伊勢西IC」から約5分。公共交通では、近鉄「五十鈴川駅」からバスで約6分または徒歩30分、伊勢市駅・宇治山田駅からもバスで約15分です。
Q5. グルメや土産はどこで楽しめる?
A. 内宮参拝後は、宇治橋を渡った先に広がる「おはらい町」「おかげ横丁」で伊勢グルメや土産を堪能するのがおすすめです。
まとめ
伊勢神宮・内宮は、天照大御神を祀る日本の心の聖地であり、伊勢参りの中心となる場所です。宇治橋や五十鈴川で清め、正宮や荒祭宮を巡る参道は、訪れる人に厳かな空気と深い感動を与えてくれます。
所要時間は約90〜120分、外宮とあわせて参拝すれば半日以上の充実した伊勢旅になります。駅からのアクセスも良好ですが、休日は駐車場が混雑するため、事前の確認や早めの行動が安心です。
「外宮から内宮へ」という正式な順序を意識すれば、伊勢参拝はより特別な体験となるでしょう。関連記事・内部リンク
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